マリアナ海溝とエベレスト

小説

第二話 メビウスの輪

・無限ループ

なみ縫い勝負は、ボクの勝利によって幕を閉じた。

縫い終えた量はほとんど変わらなかったが、ボクの方が明らかに綺麗だった。
ただひたすらに、なみ縫いのことだけを考えていた成果が出たというわけだ。

だが、当然のように大和は次の勝負をふっかけてきた。
ボクは、刹那の迷いもなく受け入れた。

一度ボクが負けて勝負をふっかけた以上、ボクだけに許されていた逃げ道は無くなった。
めんどくさい、勝負に意味を感じない、時間の無駄、そういった逃げ文句は、ボクの手によって絶たれた。

だが、別にそれでよかった。
こうなった以上、どちらかが二連勝、もしくは圧勝するまで勝負を続けるしかない。

 

その後は、技術・書道・料理・ゲーム、ときには掃除など、ありとあらゆる分野での勝負が続いた。
スポーツや勉強に関する分野はできるだけ避けながら。

ボクと大和は、お互いに勝ったり負けたりしながら戦い、各分野に関する知見と理解を深めていったと同時に、いままで全く関心がなかったことが好きになっていった。

そして、ボクらは「勝負だ」と口約束をしなくても、日常の至る所で勝負するようになり、生活の全てがフィールドになっていった。

    

修学旅行、受験、卒業式など、時が過ぎると同時に勝負の数も増えていったが、ボクたちの勝負に決着が着くことはなく、勝負の終わりも見えてこない。

そんな状態のまま、ボクたちは高校生になった。

第三話へつづく

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